あの頃嬉しかった駅前のアップルパイ

何もないような田舎で育ったけれど、駅の周辺は比較的にぎわっていました。
おでん屋さんやお寿司さん、居酒屋、スナックなどが何軒か並んでいて、そこだけ見ればそこそこの街のようにも見えました。
でも、100メートルも離れればただ田舎道があるだけ。

駅前以外は、私が住む場所と同じで何もない場所でした。
ですから、何か用事があって駅に行くことがあると、凄く嬉しかったことを覚えています。
時々、飲んだくれて騒いでいる父親を目撃してショックを受けることもあったりするのですが、それでも違う世界にきたような気がしてドキドキ。
嬉しかったのです。
そこに、小さな喫茶店がありました。
喫茶店と言っても、あまりおいしくはないラーメンや冷麺などもあり、一体あのお店は何屋さんだったのか今でも分かりません。
ただ、そこにあるアップルパイが魅力的で特別なお店だったことは覚えているのです。
アップルパイと言っても、今目にするようなお洒落なものではなく、サクサク感も無ければただ甘く日持ちがするようなお菓子です。
でも、子供時代それが食べられることが幸せだったのです。
あれから数十年経ち、もうそのお店は無いと聞きました。
それに、駅前もだいぶ変わり新しい飲食店もいくつかあるようです。
中には、同級生だった子がやっているお店もあると聞きます。
繁盛していて、毎日のようにたくさんの人が足を運ぶ人気店のようです。
過疎化が進む地域ではあるもの、皆一生懸命頑張って町おこし村おこしをしているのでしょう。
駅前が賑やかだと、なぜか今でも嬉しくなってしまう私です。

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