生まれ育った懐かしい思い出と諸行無常

夜は星空が美しい、自然豊かな場所に私の家はありました。
近所と言っても、一番近いお宅まで歩いて10分はかかります。
急な上り坂を頑張って歩いてやっと人の家があるのです。
回覧板を渡すのも一苦労。

雪も多い所でしたので、そんな日に長靴を穿いて回覧板を持って行くのは大変でした。
反対に、我が家に回覧板を持ってくる人も一苦労。
いつも、田んぼのあぜ道を歩いて持ってきていました。
そんな懐かしい思い出がふと頭の中に蘇る時、一緒に色んなことを思い出します。
あまり勉強しなかった私ですから、いつも真っ暗になるまで外で遊んでいました。
友達と一緒に遊べる幸せ。
何をするわけでもないのですが、一緒にあちこち歩いては面白い物を見つけたり探検したりと、楽しみは尽きませんでした。
進学と共に実家を離れ、それからはほとんど帰って来ることはありませんでした。
たまに帰ってきた時は、人がどんどん少なくなってきたことを知ります。
回覧板を渡す為に苦労したあの坂を上ってみても、もう誰も住んでいませんし、我が家に回覧板を持ってきてくれていた人ももういません。
同じくらいの年齢のお孫さんがいらっしゃったのですが、家を出て一人暮らしをしていると聞きます。
驚くほど子供の姿はなく、代わりに高齢の人ばかり目立ちます。
田畑ばかりで本当に田舎を思わせるのどかな場所だったのですが、今では草刈りをする人もいないのか荒れているところも少なくありません。
近所とは益々遠くなり、誰も住んでいない一個建てのお宅が数多く見られます。
諸行無常。
そんな言葉が浮かびました。

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